コロナ禍で増える食料支援:多摩の配送現場を見る

漆原比呂志(一般社団法人JLMM(旧 日本カトリック信徒宣教者会)事務局長)

 猛暑日が続く8月、東京都多摩市内の子ども食堂などいくつかの施設を、「フードバンクTAMA」有志ボランティアの奥野知秀さんにご案内いただきました。

 コロナウィルス感染拡大は私たちの生活にどのような課題を突きつけ、私たちにどのような取り組みができるか、カトリック系の団体としてNPOや市民グループのリサーチをする中で、フードバンクTAMAさんとつながることができました。カトリック東京教区災害対応チームの「支援プラットフォーム」というサイトで、フードバンクTAMAさんの食料募集の呼びかけに協力させていただくことになりました。(サイトはこちらです→http://catholictad.jugem.jp/?eid=2)こうしたご縁もあり、今回は個人的にお願いし、見学させていただくことになりました。

 食品メーカーなどから寄贈された食材を施設ごとにダンボールに詰め、車で配布するという作業に同行させていただきました。いまはコロナの影響で、配布すべき対象者が増える一方だと伺いました。

 「大学生が、飢えているってことですか」 自分の口から出てきた言葉に、とてつもない違和感がありました。「大学生」に「飢える」という言葉のイメージが全くそぐわないからです。しかし、現場で聞いた「冷凍した4つのトマトを、1日1個だけで食いつないでいる。いま、財布には200円しか入っていない」という女子大生の現状は、まさに「飢えている」状態といえるでしょう。コロナの影響でアルバイトも無くなり、親からの仕送りがストップしているのが原因とのことでした。

 訪問させていただいた多摩市内のある施設では、食料をお届けするとすぐに小分け作業が始まりました。昨年2月から子ども食堂を運営していましたが、コロナの影響で休止しているため、生活が困窮している20家族が今晩の夕食用の食料を取りに来るそうです。地域内の人間関係がしっかりと確立されている、こうしたグループとの連携がとても大切だ、というお話でした。子どもたちからのフードバンクTAMAさんへの感謝の寄せ書きも拝見しました。皆さんがとても助かっているという様子が伝わってきました。

 コロナ禍が始まる前から、時代の変化とともに、かつては当たり前だった「近くのおばさんやおじさんが子どもたちを見守る」といったご近所同士の繋がりが希薄になり、子どもの居場所自体が無くなっているというのも要因と考えられます。

 「この時代、オンラインで遠くの人とはつながるようになっているけど、近くの人との関係はどうだろう」奥野さんがぼそりとこぼした言葉から、足元の最も大事なことに気づかされます。食料はもちろんですが、まず近所で子どもたちのことを気にかけ、支えてくれる人の存在が必要なのではないか、と思いました。

 事務局長の芝田さんにも倉庫にて大変丁寧に活動についてのご説明をいただき、たくさんの気づきの体験をさせていただきました。ありがとうございました。

 先日、「支援プラットフォーム」を通して、東北からお米の支援のお申し出がありました。今後もこのようなつながりを広げ、深めていきたいと思います。

(2020年9月27日 記)

 

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